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映画『Perfect Days』感想

Perfect Days

Perfect Days ── 日常に潜むひかり


ヴィム・ヴェンダース監督の映画『Perfect Days』を観ました。物語はとてもシンプルです。東京・渋谷でトイレ清掃の仕事をする平山さん(役所広司)が、毎日を淡々と過ごしていく。朝起きて、植物に水をやり、仕事に向かい、帰りに銭湯へ寄り、夕飯を食べて眠る。そんな「繰り返す日常」のなかで、木漏れ日を見上げ、音楽を聴き、本を読む。大きな事件は起こらず、語られる過去もほとんどありません。けれど、その一つひとつの瞬間が、とても深く心に響きます。


語らないことの豊かさ

この映画の好きなところは、語らないことの中に、これほどまでに物語が宿るということ。平山さんは自分の人生をほとんど語りません。その沈黙の中で、観る側の私たちは、木漏れ日の揺らぎや、風に吹かれる葉の影に、彼の時間を重ねていくことになります。映画を観るというより、誰かの日常を静かに観測しているような感覚でした。


Perfect Days と、私の絵

観ているあいだ、私はときどき「自分が描きたい絵」のことを思い出していました。絵を描くとき、ふとした瞬間──木漏れ日の粒や、風のにおい、空のひかり──そういう一瞬を残したい。『Perfect Days』のラスト、笑っているのか泣いているのか分からない平山さんの表情は、私がキャンバスに描ききれずにいる「余白」に似ていました。決着ではなく余韻。観る人の心に残り続ける余白。


日常にひそむ“Perfect Days”

「散歩ができるだけで幸せだ」と気づいた瞬間がありました。その感覚を、この映画は静かに思い出させてくれる。完璧な一日は、特別なことをした日ではなくて、木漏れ日や風や、静かな音楽のある日。その日常をどう感じるかで、世界はまるで違って見える。


『Perfect Days』は、観る人によってまったく違う映画に見えると思います。

あなたにとっての“Perfect Days”はどんな一日でしょうか?

私はこれからも、絵の中にその瞬間を閉じ込めていきたい。

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